こんにちは、Webディレクターの大野です。
みなさんはX(旧Twitter)には慣れましたか?私はポスト、リポストが定着する気が全くしません。多分1年後もツイート、リツイートって言ってる気がします。
さて、みなさんウェブアクセシビリティ対応って取り組んでますか?
正直私も取り組まなくてはいけないのも分かってるけど、会社や身の回りに対応を必要としている人がいないため身近なことだと感じ辛く、どうしても優先順位が下がってしまい対応がおざなりになってしまっていました。
顧客もウェブアクセシビリティ対応をしなくてはいけないという認識も低いため、「ウェブアクセシビリティ対応費」として予算をかけることができずに、基本的な対応だけに留まることが多いです。
ウェブアクセシビリティとは
デジタル庁のウェブアクセシビリティ導入ガイドブックには以下のような記載があります。
「アクセシビリティは万人のためのもの」
ウェブアクセシビリティは、利用者の障害の有無やその程度、年齢や利用環境にかかわらず、ウェブで提供されている情報やサービスを利用できること、またはその到達度を意味しています。
様々な利用者が、いろいろなデバイスや環境からウェブにアクセスすることが当たり前になっている今、ウェブの利用方法の多様化に応えるアプローチのひとつがウェブアクセシビリティともいえます。
誰しもが平等に情報取得でき、サービスを利用できるようにする対応がウェブアクセシビリティだと言えますね。
障害のある方たちだけでなく、今後の高齢化社会によって多くの方がWebサイトからの情報取得が困難となる可能性があるため、ウェブアクセシビリティ対応への認識が変わってくるのではないでしょうか。
改正障害者差別解消法
みなさんも界隈でウェブアクセシビリティという言葉を頻繁に聞くようになったので、検索してこの記事を見ている人も多いはずです。
私の解釈とはなりますが、改正でどういったものが変わったのかを少し説明します。
合理的配慮の提供の義務化
合理的配慮とは、障害者差別解消法によって障害のある方々の人権が障害のない方々と同じように保障されるとともに、社会生活において平等に参加できるよう、それぞれの障害の特性などに合わせて行われる配慮のことです。
第1 障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向
1 法制定の背景及び経過
近年、障害者の権利擁護に向けた取組が国際的に進展し、平成18年に国連において、障害者の人権及び基本的自由の享有を確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進するための包括的かつ総合的な国際条約である障害者の権利に関する条約(以下「権利条約」という。)が採択された。我が国は、平成19年に権利条約に署名し、以来、国内法の整備を始めとする取組を進めてきた。
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また、令和3年6月には、事業者による合理的配慮の提供を義務付けるとともに、行政機関相互間の連携の強化を図るほか、相談体制の充実や情報の収集・提供など障害を理由とする差別を解消するための支援措置の強化を内容とする改正法が公布された (障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律(令和3年 法律第 56 号))。
改正前は行政機関等にのみ義務化されていた「合理的配慮」の提供が、事業者にも「努力義務」ではなく「義務」として課されるようになりました。
ウェブアクセシビリティについての記述
合理的配慮というのは、障害を持つ方がサポートを求めたら個別に対応できるように環境を整えておいてくださいね。ということなんですが、WEBサイトにおいては個別に対応するのは難しいですよね。
■障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(令和5年3月14日閣議決定)
(3)環境の整備との関係
ア 環境の整備の基本的な考え方
法は、個別の場面において、個々の障害者に対して行われる合理的配慮を的確に行うための不特定多数の障害者を主な対象として行われる事前的改善措置(施設や設備のバリアフリー化、意思表示やコミュニケーションを支援するためのサービス・介助者等の人的支援、障害者による円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリティの向上等)を、環境の整備として行政機関等及び事業者の努力義務としている。環境の整備においては、新しい技術開発が投資負担の軽減をもたらすこともあることから、技術進歩の動向を踏まえた取組が期待される。
また、ハード面のみならず、職員に対する研修や、規定の整備等の対応も含まれることが重要である。障害を理由とする差別の解消のための取組は、法や高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)等不特定多数の障害者を対象とした事前的な措置を規定する法令に基づく環境の整備に係る施策や取組を着実に進め、環境の整備と合理的配慮の提供を両輪として進めることが重要である。〜
ウェブアクセシビリティは「情報アクセシビリティ」の1つとして位置付けられています。
「障害者による円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリティの向上等を、環境の整備として行政機関等及び事業者の努力義務としている。」
とあるので、努力義務ではありますが環境整備としてウェブアクセシビリティの向上に努めなければならないと読むことができます。
もし違反した場合に罰則はあるのか?
障害者差別解消法の改正により、事業者は合理的配慮を提供する法的義務を負うことになりましたが、現時点ではこれに違反した場合の罰則規定は設けられていません。
Q7. 企業などがこの法律に違反した場合、罰則が課せられるのでしょうか。
この法律では、民間事業者などによる違反があった場合に、直ちに罰則を課すこととはしていません。
ただし、同一の民間事業者によって繰り返し障害のある方の権利利益の侵害に当たるような差別が行われ、自主的な改善が期待できない場合などには、その民間事業者が行う事業を担当している大臣が、民間事業者に対して報告を求めることができることにしており、この求めに対して、虚偽の報告をしたり、報告を怠ったりしたような場合には、罰則(20万円以下の過料)の対象になります。
事業者はどのくらいまでウェブアクセシビリティに対応すればいいのか?
日本のウェブアクセシビリティについては、JIS規格「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ」(JIS X 8341-3)が定められています。
様々なユーザ層及び状況からくるニーズを満たすために、61の達成基準を有しA(最低レベル)、AA及びAAA(最高レベル)の3つの適合レベルが定義されていますが、公的機関のサイトにおいては、レベルAAに準拠し、企業のサイトにおいてはレベルAまたは、レベルAAに準拠するのが一般的とされています。
Web Content Accessibility Guidelines (WCAG)
Web Content Accessibility Guidelines(WCAG)は、ウェブアクセシビリティに関するガイドラインです。
JIS X 8341-3に関してもWCAG2.0を基準として策定されています。
世界ではWCAG2.1がすでに基準のところもあるので、今後取り組んでいくのであれば、WCAG2.1に準拠するのが良いとされています。
WCAG2.0の内容とWCAG2.0からWCAG2.1になることで、どんな項目が増えたのかは今後の記事で説明していければと思います。
ウェブアクセシビリティのウェビナーも実施
すでに終了していますが、8/2、8/4、8/9に「WebアクセシビリティとCookie規制の対応ポイント解説」ということで、ウェビナーを開催させていただきました。
私自身もウェブアクセシビリティ関連のセミナーやウェビナーに積極的に参加し、見聞を深めているところですが、またみなさんの前でお話しさせていただく機会を設けていければと思っています。
ウェブアクセシビリティの向上をサポート
ここまでウェブアクセシビリティについて説明してきましたが、弊社は新たなサービスとしてウェブアクセシビリティのご相談、ウェブアクセシビリティを考慮したサイト制作のサポートなどを行う「ウェブアシ」というサービスをリリースしました。
ウェブアクセシビリティについての困り事や、何から取り組んでいけばいいかわからないなどのお悩みからでも受け付けておりますので、ぜひ「ウェブアシ」からお問い合わせをお送りください。