東京都は映画館が多すぎる……?
みなさん、近場の映画館まで、どのくらいで到着できますか?電車で20分?徒歩で5分?車で1時間?
東京に住んで感じるのは「映画館が多い」こと。ここ最近でも、TOHOシネマズ日比谷、グランドシネマサンシャイン、TOHOシネマズ池袋(7/3 OPEN)と、毎年のように新たなシネコンが誕生しています。
ただ、日本全国に目を向けると、近くに映画館がない、という地域もあります。日本全国における映画館格差はどのくらいあるのか、47都道府県の映画館事情について調べてみました。(本記事に記載されている情報は2020年6月現在のものです)
全国のスクリーン数は「3,583スクリーン」
一般社団法人 日本映画製作者連盟の調べ(※1)によると、日本全国には「3,583スクリーン」あります。ミニシアターだと1館=1スクリーンだったり、シネコンだと1館=最大18スクリーンのところもありますが、ひっくるめて、3,583スクリーンです。
スクリーン数が最も多いのは「東京都」
まずは、単純な分布から見ていきましょう。スクリーン数の比較では、全国のスクリーンの10.9%が東京に集中しており、東京都が1位(392スクリーン)になります。上位10都道府県を地図に明示したものが下の図です。
2位以下には愛知、大阪、福岡といった主要都市が並びます。各都道府県の数値は下記の通りです。
- 1位 東京都 392スクリーン
- 2位 愛知県 281スクリーン
- 3位 大阪府 224スクリーン
- 4位 千葉県 220スクリーン
- 5位 埼玉県 209スクリーン
- 6位 神奈川県 193スクリーン
- 7位 福岡県 174スクリーン
- 8位 兵庫県 122スクリーン
- 9位 北海道 108スクリーン
- 10位 静岡県 106スクリーン
次は、スクリーン数の少ない都道府県を見ていきましょう。
スクリーン数が最も少ないのは「高知県」
最も少ないのは、10スクリーンの高知県でした。下位10県を図示したものが下の図になります。
各県のスクリーン数の下記の通りです。
- 38位 長崎県 25スクリーン
- 39位 岩手県 23スクリーン
- 40位 佐賀県 21スクリーン
- 41位 秋田県・徳島県 19スクリーン
- 43位 宮崎県 18スクリーン
- 44位 島根県 15スクリーン
- 45位 山梨県 13スクリーン
- 46位 鳥取県 11スクリーン
- 47位 高知県 10スクリーン
……さて、ここまで見てきた数値はあくまでスクリーン数だけのもの。
東京のような大都市圏は、そもそも人口も多いため、映画館数・スクリーン数は多くて当たり前です。そこで、より実態に近くなるよう、各都道府県の人口を考慮した指標で比較しました。
人口10万人あたりのスクリーン数を算出してみると……?
人口で対比し、スクリーン数が多い都道府県・少ない都道府県はどこなのか、10万人あたりの数値を算出します。総務省統計局が出した2019年10月現在の人口で計算しています(※2)。
全国平均は、10万人あたり2.84スクリーン。
まず、全国平均を出してみたところ、10万人あたり2.84スクリーンという結果になりました。この数字が多いか少ないか、エンタメ大国であるアメリカと比較してみましょう。
全米のスクリーン数は4万613スクリーン(※3)、全米の人口10万人あたりで見ると、なんと12.4スクリーン。映画を観る環境としては、日本はアメリカに遠く及ばないようです。
……しかし、これは日本国内の平均値。詳しく都道府県ごとの結果を観ていきましょう。
1位は石川県!10万人あたり5.36スクリーン。
人口10万人あたりのスクリーン数が最も多いのは石川県の5.36スクリーンとなりました。トップ10の県は次の通りです。東京などの大都市が消えました。
詳しい数値は下記の通りです。石川県(1位)と山形県(2位)は、3位以下を大きく引き離しています。
- 1位 石川県 5.36スクリーン
- 2位 山形県 5.19スクリーン
- 3位 愛媛県 3.96スクリーン
- 4位 愛知県 3.72スクリーン
- 5位 沖縄県 3.65スクリーン
- 6位 三重県 3.54スクリーン
- 7位 青森県 3.53スクリーン
- 8位 福井県 3.52スクリーン
- 9位 千葉県 3.51スクリーン
- 10位 長野県 3.51スクリーン
東京都や大阪府は上位から消えましたが、愛知県は健在です。数値を見ると、スクリーン数そのものも多く(2位)、さらに人口10万人比でも多く(4位)、映画に強い愛知県、という結果になりました。
さて、それでは人口に比べて圧倒的にスクリーンが少ない県はどこなのでしょうか?
47位は高知県!10万人あたり1.43スクリーン……
スクリーン数でも47位だった高知県が、10万人あたりのスクリーン数でも47位となりました。下位10道県は下図の通りです。
詳しい数値は下記の通りです。もともとスクリーン数の少なかった県が並びます。上位10県と比べると順位の入れ替えは少なかったようです。
- 38位 岡山県 2.06スクリーン
- 39位 北海道 2.06スクリーン
- 40位 鳥取県 1.98スクリーン
- 41位 秋田県 1.97スクリーン
- 42位 長崎県 1.88スクリーン
- 43位 岩手県 1.87スクリーン
- 44位 福島県 1.73スクリーン
- 45位 宮崎県 1.68スクリーン
- 46位 山梨県 1.60スクリーン
- 47位 高知県 1.43スクリーン
以上の結果を、47都道府県ごとに詳細をまとめてみました。都道府県ごとに独立した画像になっていますので、TwitterやFacebook等のSNSでお好きにお使いください。(その際には、この記事にもリンクしてくださいね)
北海道・東北
関東
中部地方
近畿
中国
四国
九州・沖縄
東京都は23位。人口比で見ると平均的だった。
記事の冒頭で「映画館が多い」と書いた東京都は、人口10万人あたり2.82スクリーンで、全国23位。ほぼ全国平均と同じで、実際は特に多いというほどではありませんでした。スクリーンも多いけど、人口も多すぎるということです。
東京都が石川県と同じだけのスクリーン数「5.68」に追いつくには、746スクリーン必要です。残り354スクリーン。1シネコン10スクリーンとして、あと35館必要です。かなり差があることが分かります。
国内のスクリーンのシネコン率は88.3%
さて、日本のスクリーン数が3,583スクリーンと書きましたが、このうち88.3%はシネコンのスクリーンです。シネコンにも全国チェーンから地元密着のものまで様々ですが、日本で最も館数が多いシネコンチェーンはどこでしょうか?
私の周りでは「TOHOシネマズが一番だと思ってた」という意見がちらほらありますが、2020年6月現在、大手シネコンの館数は下記の通りです。
- 92館 イオンシネマ
- 68館 TOHOシネマズ
- 40館 ユナイテッド・シネマ
- 25館 MOVIX
- 19館 109シネマズ
- 19館 T-JOY
- 15館 シネマサンシャイン
- 11館 コロナシネマワールド
そう、イオンシネマが圧倒的に多いのです。
このうち、大手3社の全国展開状況を地図にプロットしてみました。
イオンシネマの場合
イオンシネマはほぼ全国をカバーしていると言っても過言ではありません。ちょこちょこ抜けているところもありますが……
TOHOシネマズの場合
意外なことに、TOHOシネマズの日本地図は抜けている地域が多いようです。ただ、時期未定ながらも北海道初のTOHOシネマズの出店が決まったようです。→札幌・すすきのエリアにTOHOシネマズ初出店 || TOHOシネマズ
ユナイテッド・シネマの場合
ユナイテッド・シネマ(シネプレックス含む)は全国に40館ありますが、主要都市圏および近郊での出店が多いようで、地図だとまばらに見えます。
他業種コラボ?ユニークな映画割引サービス4種
ところで、映画館といえば鑑賞料金が値上げされたのは記憶に新しいところ。2019年6月1日に、TOHOシネマズ、MOVIX、T・ジョイが大人一般1,900円に値上げしたことは大きなニュースになりました。
いくらスクリーンが増えても、鑑賞料金が高止まりすると客足が遠のき、需要は伸びません。ただ、最近では、映画業界以外とのコラボレーションが増えているようで、ユニークな割引サービスが増えているようです。
ここではそのうち代表的なものを紹介していきます。
名前で誤解されがち?「auマンデイ」(TOHOシネマズ)
月曜限定で1,200円で鑑賞できます。auと名前が付いているので、auユーザーしか使えないと誤解されがちですが、無料のau IDを取得すれば(→au ID新規規取得)、ドコモでもソフトバンクでも楽天でも(以下略)加入できます。
auマンデイは、auスマートパス/スマートパスプレミアムの特典の一つです。サブスクのサービスですが、auマンデイを1回使えば元が取れるので、どうやって儲けてるんだろう?と不思議になります。→各種サービス入会・退会|au Webポータル
7月には「auマンデイ スペシャルウィーク」と題して、映画を盛り上げるキャンペーンを延べ2週にわたって実施するそうです。「マンデイ(月曜)」とは……?(もはやauマンデイ自体が概念なんですね)
平日でも土日祝でも割引「auシネマ割」(ユナイテッド・シネマ)
こちらもauマンデイと同様にauスマートパス/スマートパスプレミアムの会員が使える特典です。もちろん、無料のau IDを取得すればauユーザー以外も加入できます。(→au ID新規規取得)
土日祝だろうが平日だろうが1,400円(一般)になるのに加えて、4人まで使えるという太っ腹なサービス。これも1回使えばほぼ元が取れてしまうので、ほんとにau大丈夫?という割引です。
月イチだけど「LINE Payシネマデイ」(TOHOシネマズ)
毎月第3木曜日に、LINEのキャッシュレス決済LINE Payを使ってチケットを買うと1200円で鑑賞できる割引サービスです。LINE Payを使うだけなので簡単なんですが、期間限定のようで2020年8月20日までとなっています。
利用条件厳しめ……「ドコモチューズデー」(イオンシネマ)
auにauマンデイがあるなら、ドコモにはドコモチューズデーがあります。こちらは毎週火曜日に1,100円で鑑賞できるサービスですが、対象となるユーザーが条件厳しめなので、どの程度の方が使われているのか分かりません。
まとめ
47都道府県の映画館事情、日本各地における主要シネコンの状況、他業界とのコラボなど、2020年6月現在の映画鑑賞における実態を調べてみました。
今年は新型コロナウイルスの影響もあり、かなり厳しい状況ではありますが、たくさんの方が映画を楽しめるようになればいいなと願う次第です。
出典
※1 一般社団法人 日本映画製作者連盟サイト http://www.eiren.org/toukei/screen.html
※2 人口推計(2019年(令和元年)10月1日現在)総務省統計局
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2019np/index.html
※3 Number of U.S. Movie Screens
https://www.natoonline.org/data/us-movie-screens/